IMDB 8.1/10 | IN MOVIES 8.1/10 | 144 min| 2月5日(金)日本公開
レビュー:邦題『オデッセイ』、原題:The Martianはがアンディ・ウィアーの小説『火星の人』が原作。監督リドリー・スコットの手腕により、完成度の高い価値ある映画となりました。
おいてきぼりにされた者の闘い
火星においてきぼりの植物学者。どちらかというと、おまけスタッフ。でも人気者のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は果たして生きて地球に戻れるのか!?。マーク・ワトニーはイケメンのスーパーヒーローではなく、どこにでもいるいい奴。沢山いる友達グループの中では柔和な性格で緩衝材的な脇役。しかし並外れた勤勉さと行動原理を持ち、信用度が厚い奴。おまけにひょうきん者。男性にとっては友達にしたい奴。女性にとっては結婚したいタイプ。
そんなマット・デイモンが不可能を可能にするサバイバル映画。使った武器は、創意工夫、ユーモア、不屈の精神と80年代のポップス&ディスコ・ミュージック。おそろく、観客である我々は、自分がマーク・ワトニーと同じ立場だったら?と考えずにいられません。困難を克服するための古典的で地道な方法論は、考えて、行動し、失敗の原因を追求し、また挑戦すること。自分との闘いなのです。
おいてきぼりにしてしまった側の闘い
マーク・ワトニーのサバイバルと同時に、助ける側のドラマも忘れていけません。NASAという大きな権威の建前(リスク回避)に挑むチーム達のドラマです。
このチームは、マーク・ワトニーの救出に行かないで、後々の自分の人生を後悔にさいなまれて生きる事より、自らの命をかけても、迷わず仲間を助けに行くことを選ぶ奴らです。普段の生活では究極の選択として論じられるかもしれませんが、火星に行く様な奴らなら特に悩む事もないのかもしれません。基本的なポリシーの問題。戦場で怪我をした仲間を見捨てるずに背負って連れて帰る英雄と同じですね。
不屈の精神と仲間を見捨てない心。遠い宇宙で科学の最先端の仕事を担っていても、我々人間の関心ごとは変わらない様です。みんないい奴ばかり。いい奴ばかりが力を合わせる。舞台を火星から無人島に取り替えてもいける人間臭い内容でした。
リドリー・スコット健在
仏頂面の職人リドリー・スコットは「エクソダス:神と王」あたりでそろそろピークが過ぎてしまったのかとも感じましたが、この作品で完全挽回です。原作にはないラストシーンも効果的。
最後に
地球との通信の最中、マット・デイモンが地球のスタッフを苦笑させた送信文章の内容を知りたい方は原作にて確認可能ですよ。
キャスティング・メモ:
マット・デイモンがナイス・キャスティングなのは前述のとおり。そのマット・デイモンと「インターステラー」で共演したジェシカ・チャスティン、「アントマン」のマイケル・ペナ、「スティーブ・ジョブス」のジェフ・ダニエルズ。「ロードオブリングス」のショーン・ビーン。ベス役のケイト・マラは、ルーニー・マラの妹さん!
↑ 映画公式アプリ。貴方はNASAのスタッフとして、マーク・ワトニーに適切な支持を出さなくてはいけません。
原作4種類をAmazonでチェック。当初の原作日本版(赤ジャケ)。英語版原著。映画に合わせた新装の日本版(上巻)と(下巻)。