映画 「二ツ星の料理人」 / BURNT / ミシュランの星に泣き笑い、おまけに命がけ。 / by abou el fida

IMDb 6.6/10  |  IN MOVIES 7.0/10  |  101min   |   2016年6月11日(土)日本公開

この映画は脚本に問題があります。モノを投げつけたり、どなりちらしたりするシーンをメリハリとしているのも逆効果。なので映画としては残念。しかし、料理関係の映像やうんちくとしてなかなか愉しめるものでしたので共感できる方に是非紹介したいと思いました。美しい盛り付けで芸術的なひと皿が出来上がる風景はストーリーとは無関係に魅力的。そんなシーンを紹介しましょう。


料理やレストラン廻りの美しい風景

・清潔で綺麗に掃除、整頓されたピカピカのキッチン

・磨かれた大小様々な銅鍋たち

・開店前、真っ白のクロスにアイロンのスチームがあたる風景

・開店前、カトラリーの置く位置を定規でミリ単位まできっちり計る風景

・キュウリ、ポテトは全て同じく2ミリの厚さにスライス(包丁ではなくスライサー使用厳守)

・料理人たちの賄い(Family meal)はボウルに山盛りのサラダとパイ(イギリスなのでおそらくミートパイ)

・実験的な創作フレンチ(今はなきエル・ブリのイメージ)とオールドファッションド・フレンチの対決

・料理のフレイヴァーを閉じ込める低温真空保存の最新機器

・娘の誕生日のために作られたバラ色のホール・ケーキ!

・生パスタを打ち、更にパスタマシンでそれを裂くシーン

・テフロンのフライパンにバターを落とし、フォークでオムレツを作るシーン

、、、どの映像も美しく音楽も上品。わくわく感が盛り上がります。

BURNT

真偽のほどは別として、ミシュランの調査員についての言及も面白い。

『ミシュランの調査員は、誰にもわからない。ただ、食べて飲んで帰っていくだけ。しかし、彼等にはちょっとしたパターンがある。調査員は男性の場合もあれば女性の場合もある。彼等はいつも19:30よりも早い時間に予約し、片方が早めに来店してバーでアペリティフを飲み、もう片方はその30分後に到着。片方はコースメニューを、もう片方はアラカルトを注文する。グラスで水道水を依頼し、ワインはハーフボトルを注文。上品なスーツを着ており、レストランのスタッフを試すために、フォークをテーブルの下の床に置く。注意していればわかる場所に、落とすのではなく置く。落としたらその音でだれにでもわかるからだ。』

二ツ星の料理人

最後になかなか豪華なキャスティング

約10年前、KITCHEN CONFIDENTIAL / キッチンコンフィデンシャルのTVシリーズ(原作は以下画像リンクでAmazonで。面白いです!)にアンソニー・ボーディンのシェフ役で出演してやはり不評だったブラッドリー・クーパーが主演。AMERICAN SNIPER / アメリカン・スナイパーに引続いての共演、シエナ・ミラー。ちょい役でしたが「エスカルゴって古くない?」と言っていたのがリリー・ジェームズで、まさかのシンデレラのシンデレラ役。そして、いつのまにか大御所のユマ・サーマンは何も語らず、料理の美味しさを顔の表情のみで表現します。もっと大御所、イギリスのノーブル振りがはまっていたエマ・トンプソン。おまけはコードネムU.N.C.L.E.のアリシア・ヴィキャンデルも出演。

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